
ごきげんよう。クンクン博士じゃ
ブラックナザレ(Black Nazarene)は、黒い肌を持ち、黒い十字架を背負った実物大のイエス・キリスト像じゃ。1606年にメキシコから貿易船に乗ってフィリピンにやってきたと言われとる。
By Jsinglador – Own work, CC BY-SA 3.0, Link
キリスト像としては異例の黒い肌を持っとるのは、乗っておった船が火災に遭い、その炎に焼かれてしまったかららしい。奇跡を呼ぶ像として有名なこのキリスト像のご利益にあやかろうと、多くの信者がその身体に触れたりキスしたりしとる。像の一部をハンカチかなんかで拭き、それをお守りにする者もおる。
この像は年に3回、教会から出されて信者らと共に街中を行進するのじゃが、特に有名なのは、毎年1月9日に首都圏マニラ市キアポ地区で行われる大行進じゃ。
「アンダス」と呼ばれる台車に乗ったブラックナザレのレプリカ(正確には、頭がオリジナルで身体がレプリカらしい)が、キアポ教会からリサール公園のキリノ・グランドスタンドに向かい、そこから何百万人もの裸足の信者を引き連れて、マニラ市内の所定のルートを練り歩くんじゃ。
市内を行進しとる間、蟻のように台車の周りに群がった信者らが、膨大な人の波を押し退けながら像に近づき、持参のハンカチやタオルで像を拭いたり、直に触れたり、キスしたりしようとするもんじゃから、大変な騒ぎになる。ある者は過度の疲労で失神し、ある者は群集の下敷きになって怪我を負い、下手すると死人まで出る始末じゃ。
2026年は9,640,290人の信者が参加し、怪我したり健康を害したりした者が462人おったそうな。
信仰の形は人それぞれ。奇跡を信じる信じないも自由じゃ。終わりの見えない貧困にあえぐ庶民が、生命のリスクを負ってまでブラックナザレの奇跡にすがろうとするのも、分からないでもない。
じゃが、ともすればキリストの教えから外れちまう偶像崇拝に走りかねないこうした熱狂的な騒ぎは、ワシとしてはどうも感心しかねるんじゃよな~。






